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学校訪問の記録

幼稚園児と小学生の2人の子供(女子)達の父親である私が、個人的なメモとしてブログを活用することにしました。意見・感想は私個人のものです。(ブログ全体、文中敬称略)

201602 品川区立小中一貫校日野学園 授業公開&学校説明会

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 実は公立の小学校はほとんど全く見学したことがない。そんな私が当校に興味を抱いたのは、テレビ番組で紹介されているのを観たからだ。今年の1月10日にフジテレビで放送された「平成教育委員会」で、当校の様子が紹介されていた。明るいランチルームで昼食を共にする児童・生徒達の様子を観て、校舎が新しそうだし「義務教育学校」というのも興味深いし訪問してみようかなと思った。調べてみると、品川区教育フォーラムという教育イベントが2月にあるということで、その際に当校を訪問することにしたわけだ。

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五反田駅から徒歩で数分、学校は駅から近い。朝はまだ時間があったので、川沿いを歩いて学校へ向かうことにした。散歩をしている人や、ストレッチをしている人。静かな時間が流れていた。

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歩いていると校舎が見えてきた。大きな施設と思いがちだが、実は校舎は上の部分で、下は品川区の体育施設になっている。

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事前にネットで予約していたのでスムーズに受付が出来た。学校案内を受け取り、あとは学校説明会の時間までは自由見学。見学者は、教育関係者や地域住民、在校生の保護者など様々だった。

各教室をまわったが、最も印象に残るのは英語の授業だった。児童達は活発に、そして楽しそうに学んでいた。外国語の習得は楽しくなければいけないと思っているので、今回見学した授業の進めた方や雰囲気作りは他校でも真似してもらいたいと思った。私の上の娘の学校でも真似して欲しい・・・

その英語の授業の詳細だが、小学1年の英語の授業は廊下から見学した。桃太郎の歌を英語でジャスチャーを交えて楽しそうに歌っていた。2年の英語の授業でも、教員は若い日本人だったが、やはりジェスチャーを交えて、”I’m gonna…”と楽しそうに取り組んでいた。他の2年の英語の授業でも、”What’s up?”や”tortoise”などの単語を話したり、”walking, walking”と歩く真似をしながら楽しそうにしていたのが印象的だった。この日はいくつかの英語の授業を見学したが、確かどれも日本人教員による授業だった。ネイティブ教員でなくても、楽しそうに英語に親しんでいる児童達を見ると、別にそれでいいじゃないかと思ってしまった。外国人を見慣れた方がいいという意味ではネイティブ教員が学校内に存在することが望ましいが、言語そのものに親しむという意味では、授業の方法をこのように工夫すれば、日本人教員でも十分対応が可能であると思った。ただ、4年の英語の授業を見学していて思ったが、”art room”や”music room”、”playground”など学校の設備を、児童同士で尋ねて答えてみようというゲームのような授業をしていて、大変賑やかに盛り上がっていたが、日本語で会話している様子がこの授業では多々見られた。楽しくて、興奮してしまうと日本語が出てきてしまうのだろう。日本語で会話してしまうことが悪いと言い切ることは出来ないが、授業の時間の一部だけ、例えば15分間は(児童達が入りやすいようにゲーム感覚を取り入れて)英語オンリータイムにするといった方法もあるのかなと思った。ちなみに英語の授業を行っていたどの教室にも、フォニックス・アルファベットの表が貼ってあった。

(小学)6年の算数の授業も廊下から見学した。4-5人で机をつなげて、正と負の数を巨大なトランプを使って学んでいた。とても賑やかな雰囲気で大変盛り上がっていた。

黒板は黒色で上下可動出来るタイプで、湾曲も多少あった。照明が黒板のすぐ上にあり、文字が見えやすかった。

常設の電子黒板は見当たらなかったが、例えば4年の授業では、プロジェクターで黒板に写真を投写していた。そして入室して見学した7年(つまり中学1年)の野口英世についての授業では、黒板に横型の白いロールスクリーンを貼り、そこにプロジェクターで投写していた。投写していた教材は、教員のDell製ノートPCから出力していた。ただ、生徒が発表していたが、PowerPointではなく、手書きの表を使っていた。それをスキャンして投写している様子だった。他の7年の授業では、ポータブルタイプ(上下)ロールスクリーンとプロジェクターを使っていた。火山の特徴についての授業だったが、電子黒板を教員が使いこなしている様子が伺えた。別の7年の授業を廊下から見学したが、こちらは女子生徒がLCD TVに映して発表していたが、その映しているものが手書きのものだった。基本的にこの手書きした年表を読み上げているだけに見えたが、手書きのものをスキャンして活用するというのも、なかなかのアイディアだと思った。PowerPoint文書を作成すると確かにPCスキルは向上するが、どれも味がない、似たり寄ったりのものになってしまいがちだ。手書きは人間味が出ていて、私は正直気に入った。ちなみに別の7年教室での生徒発表や6年の市民の授業でも手書きのものを使っていたので、どうやら手書きで発表する資料を作成しているようだった。その6年の授業では、男女2人ずつの4人が一つのグループを組み、校内アンケートの発表をしていた。7年生から学んだことを今後生かそうということだった。その表や図も手書きのものだった。

教室の外窓際に、教員用のドア・壁・パーティションなしのブースがあった。ちょっとした「お父さんの書斎」という感じだった。廊下側は、大人の腰の高さ以上の全面が窓で、教室内は明るい。廊下と言っても、いわゆる「廊下」ではなく、オープンスペースになっていた。そしてどの教室のドアの窓も広くてよかった。

開放感といえば、当校の職員室と校長室も開放感あふれるつくりだった。職員室は、大人の腰の高さから上が全面ガラス張りで、校長室のドアはガラス張りだった。

2階の理科室は広く、半円形のテーブルがあり、安全面を考慮してようだった。小中一貫校ということで中学生がいるのでドラフトチャンバーがあるかなと思ったがなかった。6階にも理科室があったが、こちらは角形テーブルで、大型LCD TVに資料を映していた。「火成岩の種類と色合い」と書かれたこの資料、近づいてよく見ると手書きの(スキャンした)資料だった。

図工室はごく一般的な教室だったが、教室の外に児童達(生徒達もかな?)の作品が展示してあった。可愛らしい絵や人形などがあった。ただ、図工に力を入れているとは感じなかった。

3階のPC室には壁がなく、自由に往来が出来るつくりだったと思う。20台くらいのノートPCが備わっていた。

広いオープンスペースには和室もあった。ちょうど女性教員(茶道の先生かな)が準備をしていた。和室がある中学校は、少なくとも私学では多いので珍しくはないが、公立の中学校ではどうなのだろう。いずれにしても、オープンスペースの真ん中にあること自体が驚きだった。壁がない、畳だけの部屋ではなく、一軒家の和室がそっくりそのまま移築してきたような感じの和室なので、オープンスペースの開放感が損なわれるとも言えるが、それでもドンと真ん中にある存在感はいいなと思った。茶道に興味がある私には、この和室の存在が嬉しかった。お点前をいただければ更に良かったが、そればかりは授業公開と関係がないので仕方がない。

公立だが制服があり、この制服もデザインがよく考えられている感じだった。
ちなみに男女の数は各教室ともほぼ同数だったと思う。

この日は見学者が多かったからか、混雑していて入室できない教室が多々あったのが残念だった。小学生と中学生の交流授業を廊下から見学したが、ようやく入室できる時に授業が終わってしまった。面白いと思ったのだけに、タイミングが悪いというかなんというか。授業では、新聞紙を床に敷き、それを島に見立てて、じゃんけんをしてはみ出ないようにバランスをとるというゲームだ。笑顔で楽しそうに取り組んでいた。授業が終わると、中学生達はサッと自分達の教室へ帰って行ってしまった。更に興味深いと思ったのは、7年教室の隣に5年教室があるということだ。この配置は興味深かったが、理由を当日聞くことは出来なかった。学年交流については参考になるといった点がもう1つあった。それは、廊下に掲示されていた5年生から6年生への交流のお礼のメッセージだ。授業を通じてでないと、なかなか話すことが出来ない1つ上の学年の先輩と交流をしてそのお礼を書くというのは素晴らしい取り組みだと思った。ぜひ、他校でも取り組んで欲しい。

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施設面で一番気に入ったのは図書が置かれているメディアスペースだ。壁はない。最初は貸し出しカウンターが見当たらなく(単に私が見落としていただけだが)、どこで借りるのだろうと不思議に思っていたくらい、校舎の中央付近の広く開放的なスペースに本棚があった。児童生徒は通過時に必ず図書に「触れる」わけだから、本に親しむという意味では効果的かもしれないと思った。

逆に施設面で気になったのは、意外にもオフィス的な雰囲気が漂っていたことだ。木のぬくもりというか、そういうのがなかった。「事務所」という感じだった。これは以前訪問した菅生学園初等学校でも思ったことだ。あちらも全体の校風というかあたたかい雰囲気がして気に入った学校の一つだが、実際にオフィスビルだった所を校舎として使用しているというところが気になった。今回の日野学園も同じで、学校としては斬新な取り組みをして全国的にも注目されているが、校舎がプラスに作用しているとは思えなかった。校舎が全てではないが、人間形成において(特に若い世代)、プラスに働かないといけないと思う。

これに関連して、今回の見学では、パーティションの使い方も気になった。見学をしていると、PC室の授業で教員が、パーティションを隙間がないように閉じてと指示を出していて、生徒達がその通りにしていた。試験をするためなのか、卒業シーズンで発表するサプライズのプレゼンを作成するためなのか、理由は全くわからないが(もしかすると卒業シーズン直前なので後者か?)、確かこの授業を公開対象になっていたはずなので、見学させないようにした意図が分からなく、私にとっては(多分他の見学者達も)不満とまでは言わないが、疑問が残った。そもそもパーティションで囲ってしまうとそれこそ「事務所」になってしまうので、せっかくのオープンスペースが台無しになってしまうと思った。

学校説明会はポイントが絞られていたので、比較的時間が経つのが早いと感じたし、長い説明会が苦手な私にとっては大変ありがたかった。そして、この学校説明会はランチルームで実施されたのだが、どう考えてもテレビで観たあのランチルームとは雰囲気が違う。この日は天気が悪く、外は雨。テレビで観た映像では晴れて光が差し込んでいたと思うので、そこが大きな違いだったのかもしれないが、もう一つ違う点があった。それは児童・生徒の存在だ。映像では様々な学年の児童・生徒達が楽しそうにランチをしていた。少なくともそう感じた。説明会には当然スーツ姿の学校関係者、教育関係者などがいるわけだ。明るい笑顔の児童・生徒達がいるからこそ、あのテレビで観たあったかい雰囲気が出来上がるわけだ。

更に説明会では、当校が全国で初めての公立小中一貫校であり、4月からは義務教育学校に変わる話や、品川区の教育行政などについてのDVDが上映された。 品川区では今後各校に、書画カメラと電子黒板を導入するそうだ。生徒会役員達が登場して、前に堂々と立ち、まず「こんにちは!」と元気に挨拶してから、当 校の歴史や年中行事の紹介、交流授業について発表してくれた。「交流(兄弟)学年」は大きなポイントであると女子生徒が発言していた。4月に弟が小学1年 生として入学するそうで、姉弟が一緒に登校することになるそうだ。つまり、9学年が同じ校舎で学ぶと、小さい弟妹と大きな兄姉が同じ屋根の下学べるという ことだ。仲が悪かったり、気まずくなったりする場合はデメリットがありそうだが、保護者としては安心材料だ。学年交流も盛んなようだし、たとえ一人っ子で も兄弟ができるようで楽しく登校できるのではないだろうか。

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基本的に小学校は私立しか見学していないので、今回はイレギュラーな訪問だった。公立小学校の中でも、創意工夫を凝らして教育改革に取組んでいるのが今回の日野学園だった。カリキュラムや行政との関係などを考えると、私学の方が教育課題に柔軟に取り組めるのは間違いないが、公立から学べる点も多々あると思った。品川区では他にも斬新な切り口で改革に取組んでいる学校があるので、今後機会があれば他校も訪問したいと思い、日野学園をあとにした。

 

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